三島流親子喧嘩、ここに極まる!
鉄拳といえば親子喧嘩。
一作目からずっとそうでした。
三作目は祖父と孫の喧嘩でしたが、それ以外は全て親子喧嘩の話です。
鉄拳8も当然のように親子喧嘩がはじまります。
ストーリーモードを開始すると即、仁と一八の親子喧嘩が勃発!
鉄拳8のストーリーモードはパワーインフレが行き着くところまで来て、収拾がつかなくなってしまった感じ。
格闘ゲームとしての『鉄拳』は好きですが「ストーリーモードは、もうどうでもいいや」というのが正直な感想です。
ただし、ストーリーモードの最終チャプターだけは最高でした。
最終チャプターは仁も一八もデビルの力を一切使わず、生身の人間同士の熱い肉弾戦を繰り広げます。
殴る!蹴る!
とにかく激しい三島流親子喧嘩!
あげくの果てに勝者が敗者を崖から投げ捨てるのが三島流親子喧嘩の決着方法です。
親が子を、子が親を、崖から投げ捨てるという衝撃の結末。
『鉄拳』は群像劇なので、ある意味、全キャラクターが主人公。
各々が勝利するエンディングが用意されています。
その笑みは一体なに?
完全にトドメを刺さず、崖から投げ捨てるという行為は、ある種の愛情表現でしょうか?
ここから這い上がって俺に立ち向かって来い!
そういうことでしょうか?
いや……でも、一八も平八も投げ捨てた相手が戻ってくると
「生きていたのか!」と驚きますよね。
やはりそこに愛はないのか……。
最初から殺す気満々なのか?
とにかく恐ろしい儀式です。
私は鉄拳シリーズを全てプレイしていますが本作はシリーズ中、1、2を争う完成度の高さだと思いました。
まず、グラフィックが綺麗。
PS5専用のゲームでもPS4のソフトと大差ない映像のゲームがたくさんありますが鉄拳8は間違いなくPS4より進化した映像です。
ライトゲーマーに寄り添った親切な作りも好感が持てます。
とにかく練習用モードが充実しています。
手取り足取り優しく指導してくれる感じ。
対戦リプレイの自動保存機能もあり、負け試合のリプレイを見れば自分がなぜ負けたのか一目瞭然です。
驚くべきことにリプレイ中にマイキャラを操作することも可能!
「あの時、こうしていればよかった……。そうすれば勝てたのに……」
リプレイ鑑賞中、そう思ったら実際にやり直すことができます。
例えばリプレイ中、立っていたら投げ技を食らってしまった場面で、マイキャラを操作して、しゃがむことができます!
そして相手の下段に蹴りをお見舞いし、そこから一気にコンボを叩き込み、形勢逆転!
過去の改変に成功!
まるでタイムマシンです!
すごい!
そんなことをしても『自分が負けた』という事実は覆りませんがパラレルワールドに行ったようなワクワク感があります。さらに、この動きを今後の対戦に生かすこともできます。
プラクティスモードが本当によくできているので鉄拳初心者はもちろん、鉄拳から長いこと遠ざかっていた元テケナーの方たちにも、たいへん取っ付き易いゲームになっています。
『アーケードクエスト』をプレイすると鉄拳の基本的な動きや新たに追加されたシステムが自然と理解できるので、まずはこれからやるのがオススメです。ゲーセンを渡り歩き、鉄拳プレイヤーの頂点を目指すという内容も浪漫があってよいです。
アーケードクエストでは最初に4頭身のアバターを作成しますが、このアバターはオンラインモードの鉄拳ファイトラウンジでも使用します。鉄拳ファイトラウンジはゲーセンのようなオンラインロビーを歩きまわりながら他のプレイヤーと対戦したりチャットで交流したりすることができます。
(PS3のPlayStation Homeと雰囲気が似ています)
オンライン対戦こそ鉄拳の醍醐味と言っても過言ではありません。
オフラインのCPU戦も楽しいですが人間相手の対戦は緊張感が別次元!
CPUは同じ技を何度でも喰らってくれますが人間相手だとすぐに読まれてしまいます。
攻撃がワンパターンにならないように注意し、ある程度、相手の動きを読まないと対人戦での勝利はおぼつきません。
人間が操作するキャラは何を仕掛けてくるのか分からない得体の知れない怖さがあり、本当にスリル満点!
ランクマッチの場合『ランクを上げたい』という『欲』が出るため、さらに緊張感が高まります。
心臓はバクバク!
脇の下は汗でじっとり!
対戦終了後の疲労感と動悸は、ただごとではありません。
ランクマッチの連戦は3回が体力の限界!
でも少し休むと、また対戦したくなります。
『やめられない、とまらない』妖しい魅力が鉄拳オンライン対戦にはあります。
フレンドとの対戦も楽しいです!
目立った欠点のないゲームですが個人的に気になっている点を挙げるとしたらマーシャル・ロウですね。
ブルース・リーが好きな人ならマーシャル・ロウがどれくらいブルース・リーに似ているかが気になるはず。
鉄拳8のマーシャル・ロウはブルース・リーの特徴をよく捉えていますが、大きな減点ポイントがあります。
ブルース・リーといえば研ぎ澄まされた究極の細マッチョですが鉄拳8のマーシャル・ロウはゴリマッチョ!
ブルース・リーではなく、マーシャル・ロウだ!
そう割り切ることができれば全然問題ありませんが個人的にはモヤモヤ感が残りました。
あと、キャラクターカスタマイズやアバターカスタマイズ用のアイテムが少ない所も残念。
ぜひアップデートで増やしてほしいです。
気になったところはそれくらいで総合的には、とても素晴らしい格ゲーです!
評価