舞台は渋谷! 渋谷に詳しい人も、そうでない人も楽しめます!
自分がよく知っている『実在する街』をリアルに再現したオープンワールドゲームがあったら、さぞかし楽しいだろうな~と、長いこと夢見てきました。
『よく知っている実在する街』というのが重要なポイント。
よく知っているからこそ「あ!ここ、よく知ってる!実物そっくり!」
という感じで盛り上がることができます。
長年の夢を実現してくれそうなゲームが、ついに登場!
渋谷駅周辺を舞台にしたゴーストワイヤー トウキョウです!
通勤で毎日利用している渋谷駅は私にとって、とても馴染み深い場所。
ワクワクしながらゲームをスタートさせると、いきなり渋谷スクランブル交差点が眼前に現れました。
おぉ~!まさしく渋谷!
素晴らしい!
まずはスクランブル交差点の近くにあるハチ公前広場に行ってみようと思いましたがモヤモヤとした霧がそこら中に漂っており、霧のある場所は立ち入ることができません。
ハチ公前広場は目と鼻の先なのに霧が邪魔で行けないというストレスフルな状況。
どうやら渋谷駅周辺に点在する鳥居の封印を解くことによって、少しずつ霧が晴れて、行ける場所が増えていくという面倒くさい仕様のようです。
渋谷の街を自由に散策したかった私はガックリ。
鳥居の封印を解いた後、ようやくハチ公前広場に入ることができましたが、そこで私は我が目を疑う光景を目撃しました。
ハチ公像があるべき場所に鎮座していたのはなんと狛犬。
「え?」
「なんで?」
メダパニ状態。
あたりを見回してもハチ公像はどこにもありません。
間違いなくハチ公像があるべき場所に狛犬が鎮座しているのです。
なぜハチ公像がない?
個人的に思い入れの強い場所なので怒りがふつふつと湧き上がってきました。
そしてこのゲームに対する不信感が一気にMAXへ。
なんとか荒ぶる気持ちを鎮め、ハチ公前広場から出て横断歩道を渡り、京王井の頭線の渋谷駅構内へ向かってみることに。しかしそこでも失望が待ち受けていました。
エスカレーターを昇り、井の頭線渋谷駅構内に入ってみようとしたところ何とシャッターが下りているではありませんか!
中に入れません!
これは、いわゆる手抜きというやつでは……?
駅構内を再現するのが面倒くさいから立ち入り禁止にしたとしか思えません。
ぐぬぬぬ……。
荒ぶる気持ちを鎮めハチ公前広場に戻り、今度はハチ公改札からJRの駅構内へ入ってみることに。
ハチ公改札は、ほぼ実物と同じように再現されていましたが駅の表示板はなぜか『ガチ公改札』
ガチ公改札口の先には現実世界と同じように階段があり、それを上るとホームに出ることができました。
残念ながらJRの駅構内も通行止めの場所が多いです。
その後、109、ヒカリエ、センター街などを見て回りましたが、どこもかしこも実物とは微妙に違います。
ぱっと見は似ていてもよく見るとかなり違う。
そもそも名称からして違います。109は429、ヒカリエはカゲリエ、センター街はスポーツ街。
他の場所も実際の渋谷とは微妙に違います。
そして私は理解しました。
ゴーストワイヤー トウキョウが渋谷駅周辺を忠実に再現したオープンワールドゲームだという認識は私の勝手な思い込みで、実際は渋谷駅周辺をベースに様々なアレンジを施したオープンワールド風アクションアドベンチャーゲームでした。さらに言うと想像していたよりかなり狭いオープンワールド風アクションアドベンチャーゲームです。渋谷駅の隣にある恵比寿駅や原宿駅すらカバーしていません。
GTA5の広大なオープンワールドとは比較にならないほど狭い。
がっかりしたところは他にもあります。
陰陽師のように手で印を切って戦う戦闘システムはトレーラーを見るとカッコ良さげですが実際にプレイしてみると何だかまどろっこしいだけで、それほどカッコよくありません。敵キャラのグラフィックは、やや雑で迫力や怖さに欠けています。そして使い回しが多い。超常現象、幽霊、悪霊、妖怪などを扱ったゲームなので、ある程度の『怖さ』を期待していましたが、ほぼ恐怖は感じません。かなりマイルドなホラーです。
オープンワールドゲームといえば乗り物で移動するのが定番ですが、このゲームは乗り物を使用できません。
終盤にバイクが登場しますがバイクでの移動はムービーシーンのみ。自分で運転できません。
不満だらけのゲームですが、「こんなゲームやってられるか!」と思ったわけではなく、しっかりエンディングまでプレイしました。決してつまらなかったわけではありません。気に入らない部分もたくさんありましたが何だかんだ言って、それなりに楽しいゲームでした。
悪い点ばかり指摘してしまったので今度は良かった点を列挙していきます。
渋谷駅周辺の忠実な再現を期待していた為、実物とは違う渋谷にがっかりしてしまいましたが、日本的な街並みが非常に高いレベルでリアルに再現されていた点は高く評価できます。西洋の街を舞台にしたオープンワールドは今までたくさん見てきましたが現代の日本的街並みをこれほどリアルに再現したゲームは今まで無かったように思います。
『龍が如く』や『ジャッジアイズ』は結構頑張っていましたが、この二つはゴーストワイヤー トウキョウよりもさらに狭い箱庭型ゲームでした。ゴーストワイヤー トウキョウは渋谷駅の隣にある恵比寿駅や原宿駅すらカバーしていないという点では狭く感じますが実際にゲームをプレイしている最中はそれほど狭く感じません。
むしろかなり広く感じます。
渋谷駅周辺の大都会的風景だけでなく、下町情緒あふれるエリア、団地エリア、寺社、住宅街、小さな公園、コンビニなど、日本人にとって馴染み深い光景が丁寧に描かれている点は本当に素晴らしいです。今までそういうゲームが無かっただけに見慣れた日本的風景が逆に新鮮。
渋谷に詳しい人は『間違い探し』のように実際の渋谷とゲームの中の渋谷の違いを探してみるという楽しみ方もできます。
渋谷に馴染が無い人も、日本らしい日本の姿に、ぐっと来ること間違いなし。
映像もなかなか綺麗でした。
「これぞPS5画質!最高!」というほどではありませんが、PS4でこの映像を作るのはちょっと難しいかも。
(オプションでグラフィックスモードを選ぶことができます。私は4Kテレビを使用していますが、個人的に一番綺麗に感じたのはHFRパフォーマンスモードVSyncです)
ホラーゲームを期待していると、マイルドすぎてがっかりしますが、個人的には怖すぎるホラーは苦手なのでこれくらい甘口で丁度よかったかもしれません。雰囲気としては『ゲゲゲの鬼太郎』に似ています。
悪い妖怪を倒すヒーロー然としたゲームの主人公は鬼太郎的。主人公に様々な助言をする相棒は目玉おやじ的な存在。二人のやりとりは何だかほのぼのしていて嫌いではありません。
戦闘システムも、やや単調でまどろっこしい部分もありましたが、全然だめというほどではなく、それなりに楽しめました。
ハチ公像がないのは残念でしたが、ハチ公と雰囲気がよく似た犬が街のあちこちに現れるので心が和みました。
あと、衝撃を受けたのはコンビニ店内の作り込みの激しさ。
異様なまでのこだわりを感じます。
ゲームクリエーターの並々ならぬコンビニ愛に感服。
忘れてはならないのが公衆電話の存在。
公衆電話の使い方が斬新で素晴らしいです。
「えっ!公衆電話をそんなことに使うの!?」
思わずそう叫んでしまうほど、ぶっ飛んだ使用法。
不満点も多いゲームでしたが細かい部分で楽しめる要素がたくさんあり個人的にはそれなりに満足しました。
総合評価は星4です!
評価