中世ファンタジー風オープンワールド・アクションアドベンチャーゲームの傑作!ただし、序盤は全然面白くない!
どんな面白いゲームも序盤から最高に面白いものはありません。
ある程度ゲームをやり込むことによって、心から「面白い!」と思える瞬間が訪れます。
本当に面白いゲームには、そのゲーム独自の『独特の何か』があります。
そして、その『独特の何か』に辿り着き、『独特の何か』をじっくり味わえる段階に到達するには、ある程度ゲームをやり込む必要があります。
『ある程度やり込む』とは一体どれくらいか?
それはゲームによって異なります。
10時間の場合もあれば20時間の場合もあります。
もっと掛かることだってあります。
『紅の砂漠』の場合はどうか?
10時間?
それじゃあ全然足りない。
20時間?
まだまだ足りない。
じゃあ50時間?
いいや、まだまだ。
ひょっとして70時間?
それでも足りない。
大体90時間くらい必要です。
人によって必要な時間は変わってくるのでしょうが、私の場合、心から面白いと思えるまでに90時間を要しました。90時間の間ずっと「全然面白くない。もうやめようかな……」と思いながらプレイしていたのです。
考えてみればおかしな話です。全然面白くないゲームを何故90時間もやり続けるのか?
「よっぽど暇人なんですね」と言われてしまいそうですが、私は断じて暇人ではない。
やりたい事が山ほどあって常に時間が全然足りません。
日々、時間との戦いです。
「そんなに忙しいならゲームをやめればいいじゃない」
そんな声が聞こえてきそうですが、私にとってゲームの無い人生など考えられません。
今までの人生、どんなに忙しくてもゲームで遊ぶ時間は捻出してきました。
それでも現在、積みゲーが三つも溜まっています。
『黒神話:悟空』と『スターウォーズ ジェダイ:サバイバー』と『ビースト・オブ・リンカネーション』です。
どれも凄くやりたいゲームなので面白くないゲームなど、とっとと辞めて積みゲーに取り掛かりたい。
それなのに何故か『紅の砂漠』をやめられません。
つまらないのに何故やめられないのか?
自分でも不思議ですが、やめられない理由が、ちゃんとあります。
『紅の砂漠』は、とにかく丁寧に作られています。
このゲームの制作スタッフには手を抜くという考えがまるで無いのでは?
そう思えるほど全ての面で丁寧に作られています。
大抵のゲームには、「あ、ここ手を抜いているな」と感じる箇所が絶対にあります。
むしろそれは自然なことです。
手を抜けるところは手を抜き、重要な所は全力で取り組む。
それが普通だし効率的なやり方です。
それなのに、このゲームは全ての面に全力を注いでしまった感じ。
もちろん人によって感じ方は違うはずです。
全然そんな風に思わない人もいると思います。
でも、長年ゲームをやり続けてきた私には何だかグッとくるものがありました。
ゲームばかりやっていた人間ならば、このゲームが放つ独特の凄み、オーラのようなものを感じ取れるはず。
子供の頃に「こんなゲームで遊びたい」と夢見ていたものを目の前に差し出されたような感じ?
だからと言って完璧な出来映えのゲームではありません。
微妙な所が沢山あります。
子供の頃に出会っていたら無条件で喜んでいたはずだけど今これを出されても……。
そういう複雑な気分になるゲームです。
それでも制作スタッフが誠心誠意作り上げた力作だということは間違いありませんし実際、凄いゲームなので、つまらないからと言って簡単に投げ出すのは忍びない。その結果、やめるにやめられないという感じ。
手を抜かずに真剣に作った物は、たとえ欠点があっても人の心を揺さぶる『何か』があります。
『紅の砂漠』も間違いなくそんなゲームでした。
そしてこのゲームは私の人生と似ていると思いました。
私も必要のない所まで全力を注ぐタイプです。
そういう性格なので一日の仕事を終えて家に帰ってくる頃にはボロ雑巾のようにくたびれ果てています。
そうかと言って私の仕事が素晴らしい内容かというと決してそんなことはありません。
この程度のことは出来て当たり前。
そういうレベルです。
当然、誰も褒めてくれません。
そもそも時間を掛けた丁寧な仕事など会社は求めていません。
多少いい加減でも素早く仕事を終わらせた方が会社からは評価されます。
頭では分かっていても、少し油断すると、すぐに、どうでもいいことに全力を注いでしまいます。
一日の仕事が終わる頃には、いつもぐったり。
虚ろな目で帰りの電車に乗り、窓に映る疲れ切った自分の顔を見て、ぼんやりと思う。
頑張ったけど、今日も駄目だった……。
でも、駄目は駄目なりに頑張った。
間違いなく頑張った。
明日も頑張ろう。
自分に言い聞かせ、自分を励まして一日を終えます。
毎日その繰り返し。
そして私の人生はつまらない。
つまらない人生なのにズルズル生き続けています。
つまらないのに何故生きていけるのか?
つまらないなりに面白いことも多少はあるから生きていけるのです。
『紅の砂漠』も同じ。
つまらないなりに楽しいと感じる点もありました。
だからこそ続けられたのです。
例えば風景。
現実世界で、ふと何気なく見た風景がとても美しく感じられる瞬間がありますよね?
自分は、こんなにも美しい世界で生きている。
それだけでも生きていく価値がある。
そう思えます。
『紅の砂漠』も風景描写が素晴らしい。
今までプレイしてきたゲームの中で間違いなくトップクラスです。
人物の映像はそれほどでもありませんが、風景は本当に美しい。


街にいるNPCもフォトモードでアップにしてみると超リアル!




指先の指紋まで描かれています。

一人称視点にすることも可能なので自分自身の目で風景を眺めながら旅をしている気分になれます(戦闘中は強制的に三人称視点になります)。







風景の美しさが、つまらないのに90時間もプレイしてしまった最大の要因です。
このゲームは、とにかく序盤が面白くありませんが、そう感じた一番の理由は戦闘アクションが期待外れだったところ。そもそもなぜ私が『紅の砂漠』を購入したかというと発売前に見たトレーラーのバトルシーンに感動したからです。今まで見たことが無いようなダイナミックで華麗なバトルに強く惹かれました。
自分自身の操作で、こんなに格好いいアクションが繰り広げられるなんて凄い!
絶対買おう!
そう思いました。
しかし驚いたことに私がトレーラーで見て感動したアクションシーンは全てムービーシーンでした!
プレイヤーの操作によるバトルではなかった!
ムービーシーン以外の戦闘は至って普通。
普通というか地味。
攻撃の種類も少なく、回復アイテムをガブ飲みしながらゴリ押しで戦う粗削りなバトルシステムです。
一応パリィや回避もできますが、パリィが決まってもそれほど爽快感はありません。
戦闘がつまらないアクションRPGなど面白いわけがない。
ただし、この問題はプレイ時間が長くなるにつれ解消されていきます。
『紅の砂漠』は新しいスキルを習得すると戦闘中に行えるアクションが少しずつ増えていきます。
『紅の砂漠』に限らず、ほとんどのアクションRPGはそういう仕様ですが、『紅の砂漠』の場合、本当に細かいアクションが次々と追加されていきます。プレイ時間が90時間くらいになると驚くほど多彩なアクションを繰り出すことが可能。私は寄り道ばかりしていたので90時間も掛かりましたが駆け足で進めればもっと早い段階で様々なアクションを習得できるはず。
武器を使った攻撃だけではなく素手による攻撃も豊富。
パンチ、掌底、ラリアット、足払い、膝蹴り、ドロップキック、ボディスラム等々。
挙句の果てにはジャーマンスープレックスやジャイアントスイングまで出せます。
中世ファンタジー風アクションアドベンチャーゲームなのに何故プロレス技がこれほど充実しているのか?
わけがわかりませんが何でもありのカオスなバトルシステムが楽しいです。
近接武器攻撃と遠距離武器攻撃と素手攻撃がそれぞれ別のボタンに振り分けられている為、武器切り替えの煩わしさもありません。ノンストップで様々な攻撃を繰り出せます。
『方向キーの入力』『ボタンの長押し』『複数のボタンの同時押し』等の細かい操作により千変万化のワザが炸裂します。操作に慣れるまで全てのワザを使いこなすことはできませんが操作方法に習熟すれば臨機応変に様々なワザを駆使して華麗な戦闘を繰り広げることが可能。そうなると、もう楽しくてしかたがありません。
プレイ時間が長くなればなるほど化けるゲームです。
序盤はオシャレの暗黒時代ですが、プレイ時間が長くなると自分好みの装備や武器を身に着けることができます。カラーも変更可能。
『紅の砂漠』の近接武器には衝撃波やビームが発射されるものがありますが、そういった能力は武器に固定された性能ではなくアビスギアというモンスターハンターでいうところの装飾品的な物に宿っています。その為アビスギアを外して別の武器に付け替えれば好きな武器からビームを出すことが可能。ビームが出る武器が嫌いな人は攻撃力や会心率がアップするアビスギアに交換すれば純粋に攻撃力が高い普通の近接武器にすることもできます。好きなデザインの武器を自分好みにカスタマイズできるわけです。

さらにこのゲームには猫好きゲーマーを歓喜させるシステムがあります。
なんと『紅の砂漠』は猫をペットにすることができます。
猫をペットにできるゲームは他にも沢山ありますが、マイハウス的な場所に留まり、プレイヤーを追随しないものがほとんどです。『紅の砂漠』は猫がプレイヤーの後をずっとついてきます。旅の最中、どこまでも、どこへでも、ひたむきについてきます。


猫は、ただついてくるだけでなく、戦闘終了後に敵が落としたアイテムを全部拾ってくれる優秀な相棒です。



犬派の人は犬を連れて歩くことも可能。
ビーグル、シベリアンハスキー、ブルドック等、様々な犬がいます。
『紅の砂漠』はプレイ時間が増えるにしたがって楽しいことがどんどん増えていき、その結果、どんどん面白いゲームになります。このゲームの最大の欠点は『分かりにくさ』にあります。そもそも操作が煩雑なので操作をマスターするまで全然面白くありません。謎解きも分かりにくく、こんなの攻略サイト見ないと絶対わからないよ!というものもあります。攻略サイトを見ないと進められないゲームは基本的に嫌いですが、攻略サイトを見てでも先に進んでみたいと思わせるゲームでした。
つまり、何だかんだ言って結局面白いゲームなのです。
『つまらない人生』も『つまらないゲーム』も楽しいことが増えていけば必然的に面白くなります。
楽しいことを見つけることこそが面白く生きていくための秘訣ですね。
私にとって『紅の砂漠』は90時間プレイしてからが本番でした。
90時間といえばゲームをクリアしてもおかしくない時間ですが、このゲームの場合、90時間プレイしてからようやく『冒険の幕開け!』という感じ。そこからゲームをクリアするまで、さらに150時間かかりました。合計240時間。ゲームをクリアしてもトロフィーの達成率は15%ほどです。物凄くやりごたえがあります。時間をたっぷり掛けて気長にじっくり中世ファンタジー風オープンワールド・アクションアドベンチャーゲームをやりたい方ならば、きっと楽しめるはず。アップデートで日本語フルボイスに対応し、益々没入度が上がりました。有料大型DLCもあるので、それを購入すればさらに世界が広がることでしょう。
欠点も多いゲームですが間違いなく凄いゲームです。総合評価は☆5
評価
